苦痛、絶望

父はテレビの中毒症で、もしくは布団恐怖症で、毎晩毎晩どんなときでも、家族が寝静まった後に、明かりの消えたリビングで、ヘッドフォンを装着してまで、ソファに寝そべりながらテレビを見続ける。
毎日午前3時までは見続ける。
平日は大抵眠り込んでしまっていて、いびき等かいたりしているが決して朝方まで布団に入ろうとしない。

私はその父の姿を見るのが厭で厭で、本当に心から厭で厭で、夜中に部屋の扉を開いて、ボヤっと光るテレビの画面とそれに照らされていびきをかく父の姿が目に入る度に、 本当に耐え難い怒りと嫌悪が湧いてくるのだがしかしこの感情は一体何故湧いてくるのか。
自分も夜型であるし、学生時代自分も朝までインターネットをしたり試験電波が流されるまでテレビを見続けたりしていた筈。

それがリビングだからなのか。


単に父と顔を合わせたくないからなのか。


人の堕落した姿を見るのは自分を棚に上げて嫌悪してしまうものなのか。


夜更かしする私には眠る=一日が終わる、まだ終わらせたくない、というような感覚があった。
ただ単に根っからの夜型の人間であり眠る気にあまりならなかったというのもあるが。