取調べを受ける

夢を見る。

私はマンションの一室で母と二人で暮らしている。
刑事が現れ、玄関先で私にある一日についてのアリバイを聞く。なんのことはない、朗らかなようすで。
私は手帳を持ち出し、「ええと、」と言いながらあれをしてこれをしてここにいて、と説明する。
その2週間後、刑事はまた来る。また同じ日について私にアリバイを聞く。
私は今度は容易には思い出せない。再び手帳を取り出そうとすると、刑事はだめだという。
若い方の刑事は私に優しく、以前の調書を取り出して確認させようとする。
年老いたほうの刑事はそれを「馬鹿!」と言ってぶん殴り、取り上げる。
私はせいいっぱい思い出しながら自分の過去の一日を説明する。
この間言ったのとは違うかもしれない。あれ、やっぱりああだったかもこうだったかも。
それでも私は口に出すときには自信たっぷりに、断言する。そうしなければいけないような気がする。
ついに私は、致命的な整合性のない話をしてしまう。
刑事二人は顔を見合わせ、狼のような目を私に向け私の腕をつかむ。


私は悪いことなどしたことがありません。